”ユーザー8億人”の中国Wechat「決済機能」を日本人が使う方法

”ユーザー8億人”の中国Wechat「決済機能」を日本人が使う方法
(C)Wechat

こんにち、中国のスマホ決済を軸にした近未来的なサービス(シェアサイクル、タクシー配車などなど…)が話題となっている。しかし、外国人にとっては正直なところ利用するハードルが高い。例えば、中国事情に詳しいルポライターの安田峰俊氏は以下のように指摘する。

中国では(特にITの分野では日本以上に)先進的でスマートなサービスが数多く提供されているにもかかわらず、これらがほぼ意図的に中国国民のみに特化した提供形態を採用しているため、下準備をおこなわない外国人だけ大きく割を食うハメになっているのだ。
引用:外国人は我慢しろと?「鎖国」が進む中国社会 覚悟が必要、支配を拒めばこんなに不便(JBPress)

それでも、中国のIT文化に魅了されてしまった読者ならば、是非とも「先進的でスマートなサービス」を体験したいと思うだろう。そして、そのための「下準備」も厭わないならば、その門戸は開かれている。今回は、中国で銀行口座を開設し、スマホ決済サービスの「アリペイ(支付宝)」と双璧をなす『Wechat Payment(微信支付)』を利用する方法を徹底解説しよう。

この記事は2017年5月時点での情報を掲載しておりますが、既に古くなっている内容が多いです。追記を重ねてきましたが、事情の変化が非常に早いため、一旦更新を停止します。

当時の情報や事情の変遷などを参考にする程度にどうぞ。

Wechat Payment(微信支付)とは?

中国ではチャットアプリ「Wechat(微信、ウェイシン)」が大きな人気を誇っている。日本では「中国版LINE」との呼び方がなされているが、実はLINEよりも利用者数が多く登録ユーザー8億人を誇っている。基本的な機能はチャットメッセージと無料音声通話・ビデオ通話などと、世界中多くのチャットアプリ(『What’sapp』『LINE』『カカオトーク』など)とだいたい同じである。

近年ではQRコードを用いたWechatオンライン決済サービス「Wechat Payment(微信支付)」が話題を呼んでいる。

微信支付は、個人間での送金(割り勘も簡単?)、プリペイド携帯電話のチャージから、映画館の予約、航空券や鉄道きっぷの予約、さらにはタクシーの配車までができる。

この機能は中国で近年幅広く普及しており、IT都市・深センでは露天やローカルの食堂でもQRコードが掲げられており、現金を一切使うことなく生活ができるくらいだと、話題になっている。

実は、日本でもじわじわと微信支付の利用が可能になっている。加盟店は家電量販店や百貨店、ドラッグストアなどいわゆる「爆買い」拠点のほか、在日中国人向けの中国物産店、レストランなどと続々広がっている模様。Wechat Pay加盟店は、じわじわと増えている。

「それもどうせ全部中国人向けで、日本人には使えないんじゃないの?」と思うかもしれないが、そんな微信支付は日本人でも使用することは可能だ。

ただし、アプリ自体は誰にでもアカウントを開設して使用可能だし、完全に日本語対応だが、微信支付は外国人の使用を想定していないのか微信支付部分のインターフェースの日本語対応は、2017年5月現在不完全なのでご承知頂きたい。

用意するもの1:中国大陸の電話番号

まず最初に必要になるのは中国大陸(中国本土)の電話番号。実は微信支付自体にはこれを使わずに利用する方法もあるが、後のステップである銀行口座を開設するのに必須となるので、必ず準備しよう。

中国に入国した際に空港などで売っている音声・SMS対応のプリペイドSimカードを買えば良いが、国内でも予め購入することはできる。

筆者は中国聯通香港が発売している香港/中国大陸のデュアルナンバーSimカード「跨境王」を入手して使っている。理由は中国大陸の電話番号を得られるのとともにTwitterやGoogleなどに対するアクセス規制いわゆる「金盾」の影響を受けずにインターネットアクセスが可能だからだ。ただし通信料などは(大陸のみSimよりも)多少割高になるぞい。

※読者からの指摘によると、「大陸の電話番号が利用可能な跨境王Sim」は既に発売停止されているとのこと。よって、「中国大陸の音声/SMS対応SIM」を購入する必要がある。

 

用意するもの2:銀行口座

【2020/01/08追記】2020年現在、非居住者や短期滞在者の銀行口座開設は困難です。

次に必要なのは、中国国内の銀行預金口座だ。微信支付は銀行口座と紐付けたデビットカード的なサービスなので、銀行口座とアプリを紐付ける必要があり、銀行口座の開設は必須になる。実はこれが難関だ。

開設の手続き自体は、中国全国にある銀行の窓口で「开卡(口座開設)」を申し出ることでできるが、外国人の口座開設条件が地域や銀行によって異なり、断られることが往々にしてあることが理由である。

筆者は黒竜江省ハルビンにある中国工商銀行、遼寧省瀋陽にある中国工商銀行で開設を試み、成功を収めた。

拙い中国語と筆談で开卡を申し出たところ、以下のものを要求された。

  1. 中国国内の有効な電話番号
    前段で説明したとおり。SMSで認証をするのでアクティベートなどは済ませておこう。
  2. 政府が発行した写真付き身分証明書2種類
    パスポートの他に1つ。つまりマイナンバーカードや運転免許証がそれにあたる。筆者は、パスポートしか持ち合わせていなかったことから、自治体の健康保険組合が発行する健康保険証でゴリ押したところ、何とか開設を許可してくれた経験がある。当然写真無し。最初は認めてくれなかったので、「这是日本○○市民政府发行的!!」などとしつこく迫った。(当然推奨しない)
  3. 住所
    これは、泊まってるホテルの場所で大丈夫だった。(いいのか?)
    ※2017/12/17追記:現在、多くの銀行では『境外人臨時住宿登記』の提出を求められているという。これは、観光や出張など、定住を前提としない在留資格の外国人が仮の住所とする場所を証明するものである。発行は警察署にて行うことができるが、ホテル住まいの場合は宿泊している証拠となるルームカードキーや領収書を持参する必要がある。

なお書類を記入する際に「网上银行(ネットバンキング)の開設を希望する」というチェックボックスがあるので、こちらも漏らさずチェックしておこう。(服務員に「微信支付を使いたい」と申し出ておけば丁寧に教えてくれることもあるが…)

書類記入と最初の入金が済んだら、しばらくして銀聯カードが渡され、銀行口座の準備が完了する。

ちなみに、なぜ中国工商銀行を選んだかといえば、中国全国に展開している銀行である点と、口座開設の成功事例を幾つか事前に聞いていたからである。同じく全国規模の銀行である中国銀行は一段ハードルが高いと聞く。この辺は自治体の決まりなのか、時期による政府の方針なのか、それとも窓口の服務員のさじ加減なのかは正直わからない。同じ中国工商銀行でも、上海にある支店では開設を断られた事例もある。ビザが無いとダメな場合もあるとか。注意しようがないけれど、十分に注意されたし。

※前提として「ノービザ観光・日本国パスポート」という条件。「就労/留学等長期ビザ発行」などの条件であれば当然口座開設のハードルは低いはずである。

※温馨提示※ 日本国内にも「中国銀行」や「中国工商銀行」の支店は存在するが、ここで開設できる口座は、微信支付には紐付けられない。日本の銀行が発行する銀聯カードなども同様に全く使い物にならない(2017/05時点)ので、必ず中国内地の現地で口座を開こう。

導入方法:マイウォレットが表れるまで

さて、中国電話番号と銀行口座の準備が整ったら、Wechatで微信支付を使えるようにしよう。

微信支付インターフェイス
微信支付インターフェイス

まずはWechatに、前述の方法で入手した電話番号を使ってアカウントを登録する。中国の電話番号であれば、一番右のタブに「钱包」ないしは「マイウォレット」のコマンドが現れていることだろう。それをタップすると、微信支付の画面が現れる。「バンクカード(银行卡)」を選択して、作った銀聯カードの情報を入力しよう。この時も、本人確認のSMS認証が行われる。

これで完成だ。おめでとう!Congratulations!恭喜你!

支払い用QRコード提示画面

店頭で支払いをするときはQRコードを読み込むだけで手続きが完了する。アプリ経由で友達に送金することも可能だし、その他の支払いや予約も、Wechatのインターフェース上で出来るようになる。
※一部外部サービスは、さらに新規登録が必要な場合もある。

さあ、スマホを持って街に出かけよう。

おまけ:日本電話番号で作ったWechatアカウントで微信支付を使うには…

既に日本の電話番号でWechatアカウントを開設し、使用しているフレンズもいるかもしれない。外国の電話番号で登録したWechatアカウントには、標準では微信支付を使う「マイウォレット」のコマンドは表示されない。

しかし、諦めるのは早い。既に微信支付を使っているフレンズに送金を依頼してみよう。1元でよい。すると、受け取る際に銀行口座の登録と身分確認の画面に遷移する。その時に銀行口座を登録すれば、問題なく微信支付が使えるアカウントへと変身するのである。

ただし、これもまた失敗例もあれば、将来的に使えなくなる可能性もあるので注意されたい。(注意しようがないが…)

◆2017/12/17追記

また、近頃は『mobike』が日本でサービスを開始するタイミングで、mobikeのアプリに日本発行のクレジットカードを紐付けられるようになった。このアプリは、世界中のmobikeに乗ることができるようになっているもので、レンタル自転車に中国で乗るためには、上記のような努力を要さなくなった。科学技術は一歩一歩発展を遂げているのだなあ。

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