中国語の単語をA列に入力すると、B列にピンイン、C列に日本語訳が自動で出る。そんな単語帳を、Googleスプレッドシートのテンプレートとして用意した。自分のGoogleドライブにコピーすれば、あとは単語を打つだけで使える。
この記事は2018年9月に書いたものを、2026年9月に書き直した。元の手順で使っていたアドオンが、2つとも使えなくなったためだ。今回はアドオンに頼らず、ピンインを変換する仕組みをテンプレートの中に入れてある。
【温馨提示】テンプレートはコピーして、そのままお使いください。見本の単語は、A列から消せばピンインも一緒に消えます。

単語帳を作ろうと思ったきっかけ
中国語を学ぶうえで、筆者がいちばん苦労したのは単語と発音の対応だった。声調をあいまいに覚えていて、ネイティブに通じなかった経験は、多くの学習者にあると思う。
その場はごまかせても、あとで復習しないまま、同じ失敗をくり返しがちだ。そこで、つまずいた単語をためておく場所を作ることにした。
ただ、辞書でピンインを調べて紙に書き写す作業は続かない。単語を入れるだけでピンインと意味が横に並べば、ためる手間はほとんどなくなる。浮いた時間は、眺めたり声に出したりする時間に回せる。
テンプレートの使いかた
手順は3つだけだ。
- 冒頭の「テンプレートをコピーする」のリンクをひらく
- 「ドキュメントのコピー」画面で「コピーを作成」を押す
- 「単語帳」シートのA列に、中国語の単語を入力する
2の画面には「添付の Apps Script ファイルと機能もコピーされます」と出る。ピンインを変換するプログラムごとコピーする、という意味だ。
コピーした単語帳は、自分のGoogleドライブに入る。スクリプトを含むことの確認はこの表示だけで、Googleアカウントの権限の許可を求める画面は出ない。

単語を入力すると、数秒でB列にピンイン、C列に日本語訳が入る。コピーした直後の最初の1回だけは、10秒ほどかかることがある。
A列には1マスに1語ずつ入れる。単語リストをまとめて貼り付けてもいい。1000語を一度に入れても、ピンインは数秒で埋まった。日本語訳のほうは、はじめて訳す単語が多いと、埋まるまで数分かかる。
D列は自由に使えるメモ欄だ。例文や覚えかたを書いておくといい。ピンインは値として書き込むので、並べ替えやフィルタもそのまま使える。
ピンインはどこまで正しく出るか
中国語には、同じ漢字でも単語によって読みが変わるものがある。テンプレートは前後の字を見て、読みを選ぶ。筆者が試した結果は次のとおりだ。
| 単語 | 表示されるピンイン | 確かめたこと |
|---|---|---|
| 银行 / 行走 | yín háng / xíng zǒu | 「行」の読み分け |
| 重要 / 重新 | zhòng yào / chóng xīn | 「重」の読み分け |
| 长城 / 长大 | cháng chéng / zhǎng dà | 「长」の読み分け |
| 音乐 / 快乐 | yīn yuè / kuài lè | 「乐」の読み分け |
| 喜欢 | xǐ huan | 軽声 |
| 一起 / 不对 | yì qǐ / bú duì | 「一」「不」の声調変化 |
「一」と「不」は、実際に発音するときの声調で表示する。一起は、辞書だと yīqǐ と書くものが多い。一方、読むときは yìqǐ になる。辞書の表記とそろえたい人は、この点に注意が要る。
完璧ではない。たとえば朋友は péng yǒu と出る。辞書の多くは、軽声の péngyou としている。気になる単語は辞書で確かめてほしい。
声調の覚えちがいは、自分の耳だけでは気づきにくい。以前に紹介した Speechling なら、録音してネイティブの添削を受けられる。
声調を数字で表示したいとき
ピンインは、声調記号つき(zhōng guó)で表示する。声調を数字(zhong1 guo2)や、声調なし(zhong guo)で書きたい人は、設定を1か所変える。
- メニューの「拡張機能」から「Apps Script」をひらく
- 「コード.gs」の2行目、
var TONE = '記号';の「記号」を「数字」に書き換える(声調なしなら「なし」) - 保存してシートに戻り、A列のどこかを1回編集する
3をおこなうと、すでに入っている行もまとめて切り替わる。数字で表示するときは、軽声を5で表す(喜欢なら xi3 huan5)。
日本語訳は参考程度に
C列の日本語訳には、スプレッドシートの GOOGLETRANSLATE 関数を使っている。Google翻訳のエンジンで、単語の意味をざっくり示してくれる。
ただし、単語1つだけを訳すので、品詞も文脈も伝わらない。そのため誤訳がよく出る。たとえばGoogle翻訳は、喜欢(好き)を「のように」と訳した。意味の確認には辞書を使ってほしい。
2018年版では、行を増やすたびに翻訳の関数をコピーし直す必要があった。今回は1行目に置いた数式1つが列全体に効くので、その手間はない。
2018年版の方法が使えなくなった理由
元の記事では、スプレッドシートのアドオン「Hanyu Pinyin Tools」でピンインを出していた。このアドオンは、2019年に公開が止まった。
その後は代わりとして、同じくアドオンの「Mandarin Cantonese Tools」を紹介していた。こちらも2026年7月に、作者がGitHubで「Googleにアプリを無効化されたようだ」と報告している。
9月時点では、Google Workspace Marketplace の掲載ページがひらけず、検索しても出てこない。
筆者は2026年9月に、Marketplace を英語・中国語・日本語のキーワードで探し直した。スプレッドシートにピンインの関数を追加するアドオンは、1つも見つからなかった。
アドオンに頼る方法は、2019年と2026年の2回壊れている。今回、仕組みをテンプレートの中に入れたのはそのためだ。
仕組みと注意点
ピンインの変換には、オープンソースのライブラリ「pinyin-pro」(MIT License)を使っている。これをスプレッドシートの Apps Script に組み込み、A列を書き換えたときにB列を更新するようにした。
変換はスプレッドシートの中でおこなう。ピンインのために、単語を外部のサービスへ送ることはない。プログラムの中身は「拡張機能」→「Apps Script」から、誰でも確認できる。
注意点が1つある。自動で変換するのは、A列に手で入力したり、貼り付けたりしたときだけだ。A列を数式や、別のファイルからの取り込みで埋めた場合は、B列にピンインが入らない。
その場合は、空いている列に =PINYIN(A2:A) と入力すれば、数式でピンインを出せる。声調を数字にするなら =PINYIN(A2:A,"数字") と書く。
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「今日はいくつ言葉を覚えた?」と、毎日自分に聞けるようにしておきたい。まずは今日つまずいた単語を、1つ入れてみてほしい。
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