外国語を学ぶ生活の中では、「今日はいくつ言葉を覚えた?」と自問し続けることが大事だと聞いたことがある。
ところで、中国語を学習する上で難所の一つとなるのが、単語とその発音の対応である(筆者見解)。
生活の中で、例えば声調の記憶が曖昧で、ネイティブにうまく発話が伝わらなかった経験は、中国語学習者のほとんどがあることだろう。その場は上手くフォローしても、後になって復習が有耶無耶になり、再び同じ過ちを繰り返すこともしばしばある。
なんとかこの日々の失敗経験を活かすことはできないか……と考えた筆者は、上手く覚えていなかった単語をストックして復習することをまず考えた。しかし、いちいち辞書などで調べて紙に書いておくのは面倒だし続かなさそうである。そんなときに思いついたのが、“単語を入力すると、ピンイン(発音記号)と意味が自動で出てくる仕組み”だ。
これがあれば、ただ日々単語を書き溜めるだけで、付帯する情報が一緒に記録される。眺めたり声に出したりして脳に単語を刻む時間を増やすことができるのである。
そしてそれは『Google スプレッドシート』と、そのGoogle翻訳出力関数(googletranslate)、またアドインである『Hanyu Pinyin Tools』を使うことによって無料で建設することが可能である。ぜひ参考にされたい。
実装サンプル
【温馨提示】<サンプルデータ>をコピーしてそのまま使うこともできます。
入力する関数
表示される結果
手順の解説
1. スプレッドシートを作成する
Googleスプレッドシートを開き、単語帳とするシートを作成しよう。これから反映するのはいずれもGoogleスプレッドシート独自の機能・関数なので、MS OfficeのExcelやWPSオフィスなどでは対応していないことに注意。
サンプルでは、単語、ピンイン、翻訳結果(日文)、翻訳結果(英文)の列を用意した。
【参考】Google スプレッドシート
2. Hanyu Pinyin Toolsを有効化し、反映する【廃止されました 2019/10/30追記】
Hanyu Pinyin Toolsは、指定したセルの中国語をピンイン化して表示することができるアドオン関数である。中国語からピンインを抽出する関数は、スプレッドシートには標準で備わっていないため、アドオンをインストールする必要がある。下記の手順を参考に導入しよう。
【2019/10/30追記】HanyuPinyinToolsがGoogleスプレッドシートのアドオンで2019/10/30現在、非公開状態になっている。「Mandarin Cantonese API」というアドオンを代わりに使うことができる。普通話だけでなく、広東語にも対応しているようだ。
※導入手順
スプレッドシートの画面上「アドオン」>「アドオンの取得」>ポップアップした画面上の「アドオンを検索」に「HanyuPinyinTools」と入力して検索>HanyuPinyinToolsを選択してインストール
導入が済んだら、HanyuPinyinToolsの関数が使用可能になる。「ピンイン」列に関数を反映することによって、「単語」列の単語がピンインに変換されて表示される。下記4つの記法があるので、好きなものを使うと良いだろう。
サンプルでは、HANYUPINYIN_TONEMARKSを用いた。
=HANYUPINYIN(A1)→ zhong1 guo2
=HANYUPINYIN_TONELESS(A1) → zhong guo
=HANYUPINYIN_TONEMARKS(A1) → zhōng guó
=HANYUPINYIN_TONEMARKS_ISO(A1)→zhōng guó
ちなみに、Arrayformula関数のように配列で扱うことが可能なので、B列最初の行のセルだけに、B2以下の範囲を指定すれば、単語列に単語を埋めるだけで自動的にピンインが表示される。
【参考】HanyuPinyinTools – Google Sheets add-on – Chrome
3. googletranslate関数を反映する
googletranslate関数は、Google翻訳のエンジンを使って、特定のセルに入っている言語を他の言語に翻訳してくれる関数だ。大まかに入力した単語の意味を日本語や英語で表示してくれる。
Google翻訳の日本語→中国語翻訳は、おそらく間に英語翻訳を仲介して日英→英中と処理をしているように思われる結果がしばしば表示されるので、たまに意味不明な言葉が返ってくる。意味の理解を助けるため、サンプルでは中日(C)、中英(D)の列を加えてある。好みに応じて減らしたり増やしたりしてもよいだろう。
【参考】GOOGLETRANSLATE – ドキュメント エディタ ヘルプ – Google Support
課題点
上記の作業によって、自分がわからなかった単語をストックしておく場所ができ、ストックする手間を最低限に抑えられ、過去に躓いた単語を遡ることができるようになったという点で、一定の効用を得られた。一方で、下記のような課題も見受けられる。
コピペが必要…?
GoogleTranslate関数がArrayFormula関数に非対応なため、行が増えるたびに翻訳関数をコピペしなければならない。そのため、単語の入力以外の作業を全自動化するには至っていない。(上手くやる方法を知っている方は教えてください……。)
壁越えの必要アリ
Googleのサービスを使っているので、中国からアクセスする場合VPNなどを通さないと更新・閲覧ができない点が少し不便。読者の中には留学や就業のため中国に住みながら中国語を学んでいる人々が多いだろうと思われる。中国国内サービスのテンセントドキュメント(腾讯文档)などで同じものが使えれば、Wechatのミニプログラム内で使用できるので、非常に便利かと思われる。テンセントドキュメントの使い方は全くわからないので、今回はノータッチとした。
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