東大生が書いたブラック企業本がすごいと話題にwwwwww(書評:『進め!!東大ブラック企業探偵団』 大熊将八)

東大生が書いたブラック企業本がすごいと話題にwwwwww(書評:『進め!!東大ブラック企業探偵団』 大熊将八)

久しぶりに更新する。今回はTwitterのフォロワーのくまりん(@ showyeahok )が本を出版したので、早速読んでみた時の話をする。結論だけ先に言うと、この本は、就活生をはじめとする学生に役に立つだろう。

著者にはステマしてあげるよと言ってしまったのに申し訳ないが、逆に一銭も貰っていないのにPR表記の上で紹介したい。一応、JIAAのネイティブ広告ガイドラインに準拠している。しかし、繰り返すが一銭も貰っていない。

 『進め!!東大ブラック企業探偵団』(大熊将八)

さて、今回紹介するのは『進め!!東大ブラック企業探偵団』という作品である。

あらすじは以下のようなものだ。

「このままでは、日本の企業はぜんぶブラック企業になるかもしれないわ」

「な、なんだってー!?」
「これを見れば一目瞭然」
東大ブラック企業探偵団の団長・東大法学部3年のハルキ、そして経済学部のマオ、農学部のカンタが隠れたブラック企業を摘発、眠れるホワイト企業を見つけ出す・・・・・・。

Amazonより

その紹介文からは、全ての会社が ブラック企業と化すことに警鐘を鳴らすという、非常に社会的な内容を思わせる。実際はどうなのだろうか。私が読んでみた結果、こういう本だった!という簡単な総括と感想、批判を述べることとする。

企業分析を舞台にした逆転裁判

この本を総括するならば、上記のように言うことができるだろう。扱うトピックごとに章立てがなされており、(1)ブラックと名高い外食産業(2)就活生みんなの憧れテレビ局(3)ものづくりで日本経済を背負うメーカー、そして(4)The お堅い職業代表メガバンク・地方銀行といった注目度の高い4業界に関する俗説や権威の言葉を、UTBD(東大ブラック企業探偵団)メンバーたちが企業分析というファクトベースの武器を手に粉砕していく。

明らかに渡○恒雄とどこぞの名誉会長を掛けあわせたような老人や、外銀崩れのゲイバー兄ちゃん等のキャラの立った人たちとの出会いが彼らの分析を助ける。

そして、UTBDは低賃金重労働のブラック企業を生み出す仕組みを暴き、コモディティ化の流れに呑まれずに競争力を保ちながら上手くやっている輝かしいホワイト企業のあり方を見出していく。こんな感じ。痛快である。

 

ビジネス書として◎

最初に、就活生をはじめとする学生に役に立つと言った。それは有価証券報告書をはじめとする誰でもアクセスできる情報をもとに企業の状況や展望を投資家のように解釈するプロセスを、本書を読むことで学ぶことができるからである。就活の時に会社説明会に行くと、「うちの売上はこんな感じで推移してて、これからどんどん増益していきますよ。」といった景気のいいグラフをどこに行っても見せられることになるけど、それが本当に景気のいい話なのかどうかを検証することができるようになるきっかけを、本書は与えてくれる。

(私は大学2年の頃に会計初級のコースを取ったことがあるが、PLやBSの読み方を覚えて何に使えんの?という感じだったので、このような実践的な知識があるとより学習が捗っただろうなあと思う…。)

 

お色気描写は必要だったのか?

ところでこの本はビジネス書であると同時に小説である。小説として本書を見た時の感想はどうだろう。全体としては、逆転裁判シリーズのように悪い大人に論理と証拠で立ち向かっていくという筋が一貫としていて、わかりやすく引きつけられる物語だ。ただし、所々に挟まれるお色気描写がすごく異物のように感じられる点が気になった。例えばこれ。

押し倒された際にマオのブラウスの第2ボタンがはじけ飛び、白い肌が露わになる。 (7P,L1)

まるでネットに転がっている官能小説の一節のようなフレーズが不意打ちのように登場するが、まあエロい展開はない。エンタメとしてちょっとエッチな場面やらセンセーショナルな場面やらを用意するのは連載小説の手法としてアリなのかもしれないけど、本書のバランスだと、なんとなく不純物のように思えてしまった。

瀧本先生の代わりに武器を配っているのか?

また、『もしドラ』のような装丁でアニメチックな挿絵が用いられたラノベ風な見た目とは裏腹に、用いられる語彙はそこら辺のビジネス書と比べれば硬質で難解だ。東大生や京大生をはじめとする最エリート学生に加え、大手企業への就職者を多数輩出する早慶など名門大学の学生が読むことを前提にしているように思う。難解な語彙とポップな見た目のギャップを同時に持った本書は誰に向いているのだろうか。

ところでこの本、背表紙にこのような文言がある。

東大ブラック企業探偵団とは

実在する「Tゼミ」(瀧本哲史京都大学客員教授が顧問)をモデルにした、

東大本郷キャンパスに部室を置く「秘密結社」。

「Tゼミ」は、公開情報に基づく企業分析と政策分析を通じ、

過酷な現代社会を生き抜くための意思決定方法を学び実践するゼミ。

東京と京都を拠点にさまざまな大学の学生が参加している。

投資コンテスト「バークレイズ大学生アナリストカップ」では

2回連続優勝に輝いた。

下の4行、というか帯の後ろ側半分以上がTゼミの自慢に費やされている。本書は瀧本哲史先生の偉大なる教導の成果物ですと言わんばかりだけど、恐らくこのTゼミでの学びが本書の内容の大きな基盤となっているのだろう。そういえばこのTゼミの顧問とされる瀧本哲史氏の本に以下のようなものがある。

手元にないのであまり具に言及することができないが、大まかに言うと資本主義社会の厳しさを説いて、投資家的な目線を以ってマッチョに生き抜けと啓蒙する内容の本だ。この本に記された思想は、『進め!!』と似通った部分が多い。『僕は君たちに~』があからさまに京大や東大の最エリート学生のみを対象にした啓蒙の書であるならば、『進め!!』はこの瀧本氏の思想を背景にしつつも、少しだけ対象層を広げて「武器を配る」使命を帯びているように思う。

続編に期待

長々と書いてゴチャゴチャしてしまったけど、とにかくゼミでの学びを小説化して出版する試みは興味深かった。やはり教授の思想の影響が色濃く反映されているように思えるけど、もっと著者のユニークな考察や遊び心が読みたい。

エピローグで少し言及されていた教育業界についてももっと詳しく知りたいし(自分で調べなさいと言われそうだけど…)拡がりのある作品として、今後の動向に期待している。

たくさん売れると良いね。みんな買ってね!

2016/06/11 追記

レポートによると、この記事を経由して、10冊以上の本書が売れた模様。そのことをTwitterに書いたところ、本人から

こんなことを言われたので、もう一回読んでみようと思う。

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