中国鉄道でどう過ごす?乗車から車内の過ごし方アレコレ│連載「中国鉄道旅行ガイド」Vol.3

中国鉄道でどう過ごす?乗車から車内の過ごし方アレコレ│連載「中国鉄道旅行ガイド」Vol.3
ふどあ(編集長)
ふどあ(編集長)
中国鉄道時刻研究会が寄稿する特集:「中国鉄道旅行ガイド」で10万kmを乗りこなす第三弾です。今回は、中国鉄道に乗るにあたって、駅や列車でどう過ごすか? を写真と文章で紹介します。前回までは旅行を計画するための知識を届けてきましたが、この記事は実際に中国鉄道に乗る体験はどのようなものかを、リアルに漏れなく記述しています。

中国の駅はやけに広くて、乗車までの流れも日本とは違います。この記事を読みながらシミュレーションしておけば、実際に駅に着いてから迷って慌てることもなくなり安心です!

乗車手続き

駅に向かう

同じ都市にターミナル駅が複数ある場合は、別の駅に間違えていかないように気を付ける。また、国鉄の駅名と市内交通の駅名が異なっていることが多いため、これも注意が必要だ。道路交通で向かう場合は渋滞に備えて十分にゆとりをもって行動したい。

西安駅(陝西省)

きっぷを購入する/ 受け取る

きっぷ売り場(售票处)

「售票处」(出札口)の窓口に行き、きっぷの購入/ 受け取りを行う。近年急速にインターネット予約と自動券売機の利用が普及したため行列は解消しつつあるが、窓口の数量も絞られて結局長い列ができていることもあるので、なるべく早めに向かうにこしたことはない。

なお、軍人や学生優先窓口は列が短いことがあるが、多くの場合は一般旅客の取り扱いも行っているので、こうした列には並んでおいた方が良い。急客窓口や値班主任窓口も人が少ないので、外国人であることも味方にして、活用していきたい。

複数人で旅行している場合はいくつかの列に分散して並んでおくのも手である。もっとも、中国の出札は一般に手際が良いので、予想よりも速く列が進むことが多いだろう。各窓口の営業時間は頭上や窓口脇に掲示してあるので、並んでいる途中に窓口終了に遭ってしまわないよう、確認しておきたい。

なお、大駅では発車十数分前(駅によって決まっており窓口等に公示されている)に当該列車の出札を終了するので気を付けたい。インターネット予約したきっぷの受け取りにはこの制限が無いことが多い(発車後でも領収書としてきっぷを受け取ることができる)。

ゆとりある入場のために、きっぷは遅くとも発車20 分前には受け取っておきたい。

きっぷ売り場の窓口

駅舎に入る

駅入り口のセキュリティチェック

中国では駅舎に入る際にきっぷ・身分証明書類の確認と安全検査が行われる。

「进站口」から駅舎に入る。このとき、係員にきっぷと身分証明書類を呈示して確認を受ける。これが済むと身分証明書類は必要なくなるので、一旦立ち止まって、大切にしまっておきたい。きっぷも改札まで必要なくなるので、しまっておく。

次に安全検査を受ける。すべての荷物をX線検査装置に通し、同時に係員によるボディチェックを受ける。安全検査と言っても、空の便とはレベルや目的が大きく異なるので、通過速度はかなり速い。金属を体から外す必要はないし、液体やノートパソコンを荷物に入れたままにしていても問題ないのは当然である。

なお、政治的に重要な時期・行先・地域になると、にわかに検査が厳しくなり、飲料の試飲などが求められることもある。また、北京行き列車などでは、乗車前に再度検査が行われることがある(二次安検)。

待合室

駅構内の待合室

安全検査を出てきたところにある電光掲示板を見て、乗車列車の待合・改札地点を把握し、そこに向かう。多くの場合、手元のきっぷの右上にも記載してある。

大駅では駅舎内で売店やファーストフード店・レストランが営業している。

一部の大駅では商務座や軟席利用者のための専用待合スペースを用意しており、優先改札を行っている。

改札

改札口

改札は列車別に行われる。おおむね発車15 分前から始まることが多い。自動改札機を通れるのは青色のきっぷ(磁気券。直達票に限る)であり、赤色のきっぷは脇の改札係員のいる通路を通る。

改札は発車3~5 分前(駅によって決まっており待合室に公示されている)に打ち切られるので、ゆとりをもって通過したい。

乗車前に駅で利用できるサービス

荷物預かり

荷物預かり窓口(寄存处,行李寄存)

大駅では駅前広場の売店等で荷物預かり(寄存)を行っており、乗車まで時間がある場合に活用できる。閉店時間をよく確認しておきたい。

赤帽

一部の大駅では赤帽サービスがあり、列車まで荷物を運んでくれるほか、優先改札もセットとなっていることが多い。

車内での過ごし方

列車の乗車口

荷物置き場

電車列車の荷物置き場

電車列車では、棚や車端の荷物置き場を使える。

客車列車では、棚や座席の下、寝台の下を使える。軟臥やセミコンパートメント仕様の硬臥は、通路の天井裏が大きな荷物スペースになっており、室内から荷物を上げ下ろしする。

車内販売

車内販売のカート

ローカル列車も含めてほとんどの列車に車内販売が乗車している。列車によるが、主なメニューは次の通り。ビール、白酒、ジュース、水、ヒマワリの種、スナック菓子、おつまみ(ソーセージ、肉の干物、うずら卵、干し豆腐等)、カップラーメン、たばこ、ティッシュ、トランプ。

電車列車では上記に加えてコーヒーの販売があることも多い。逆に、電車列車は車内禁煙のため、たばこの販売は無い。

長距離列車では、充電済みのモバイルバッテリーやアメニティグッズ、スリッパ、雑誌などの販売が加わることがある。

その他、列車により、増収策の一環で雑貨の販売がある場合がある。

果物が販売されるケースも

弁当の販売

電車列車ではレトルト弁当の販売を行っている。食事時間帯になると係員が注文を取りに回るので、この時に注文すると、ビュッフェ車で加熱した弁当を座席まで届けてくれる。価格帯は15 元~ 80 元まで幅広い。

このほか、電車列車では、12306 サイト/ アプリを用いて出前を頼むサービスがある。取り扱い駅発車1 時間前までにオンラインでメニューを見ながら注文すると、駅の飲食店で調理された出来立ての食事が座席まで出前されるというものである。12306 サイト/ アプリは中国の携帯電話番号が無ければ使えないが、もしアカウントを持っていたらぜひ活用したいサービスだ。

客車列車では、食堂車を連結した列車の多くで、食堂車で調理した出来立ての弁当が販売される。価格帯は15~30 元。

食堂車

電車列車の多くはビュッフェカーを連結しており、レンジ調理の簡単な食事を提供している。

客車列車のうち夜間走行する長距離列車の多くには食堂車が連結されており、その場で調理した出来たての食事を提供している。プレートに盛り付けた定食のこともあれば、料理単品注文のこともある。価格帯は市中の大衆食堂の2~3 倍で、料理一皿が30~50 元、定食が50元程度となる。

食堂車の営業時間は比較的短いので、利用前に係員に確認しておきたい。夜行列車でも一部は食堂車を連結していないが、残念ながら、今のところ食堂車の有無は事前にわからない。一般的傾向として、夜行列車といえども食事時間帯にかからないような所要時間の短い列車は食堂車が無いことが多い。

食事時間帯以外の食堂車では、実態としては立ち席客への座席の販売なのだが、喫茶営業をしていることもある。

途中停車駅と駅ホーム販売

電車列車では、停車時間が短いため下車客以外はホームに降りないよう呼びかけられている。客車列車では、十分な停車時間がある場合にホームに降りて散歩することができる。発車時刻より前に乗降扱いが早じまいしてしまうこともあるので、この時は最寄りの号車にきっぷか「換票証」( 後述) を呈示して乗車する。

大駅ではホームに売店や移動販売車があり、車内販売と同じような物品や出来立ての弁当、当地の名物を売っていることがある。短い停車時間の中で買い物をすることになるので、小銭の用意をお忘れなく。

 

給湯

給湯器

中国人は熱い茶を好むため、すべての列車に給湯設備がついており、無料でお湯を使うことができる。カップラーメンを調理できるほか、蓋つきのコップと茶葉を用意しておくと手軽にお茶が飲める。

普通客車では石炭ボイラーで湯を沸かしているため、湯が沸いた都度の供給となっている場合がある。湯の供給場所とタイミングは係員によく尋ねたい。

トイレ・洗面台

客車列車の洗面台

洋式トイレは電車列車の各編成と客車列車のうち軟席車両と身体障害者用トイレに設置されている。それ以外は和式となる。電車列車には必ずトイレットペーパーが備え付けられているが、客車列車は列車によるのでトイレットペーパーを携帯しておきたい。客車列車の一部はトイレが垂れ流し式であり、駅停車中とその前後は締め切りになるので注意されたい。

洗面台がほとんどの電車列車とすべての客車列車についている。グレードの低い客車列車だと手洗い石鹸が備え付けられていないことがあるので、気になる方は石鹸を用意されたい。

電車列車の洋式トイレ

寝台車

硬臥ベッド

乗車したら列車員がやってきた時にきっぷを預け、代わりに「換票証」という引き換えカードをもらう。列車員がきっぷを集約管理することにより、個々の旅客の着駅を把握し、夜中でも起こしに来てくれるという仕組みだ。深夜早朝の到着でもぐっすり眠ってよい。到着の約30 分前までにきっぷを返却しに来るので、この時に「換票証」と引き換える。

寝具はすでにセットされている。下段の枕と掛け布団が上の段に置いてある場合もある。寝台を覆うカーテンは無い(動臥を除く)。

上段・中段の人は、昼間は下段や通路の補助席に座って過ごすことができる。

硬臥車では22 時ごろに全車消灯となる。

多くの列車では座席車と寝台車の間は施錠された扉や食堂車で区切られている。施錠された扉は列車員を呼べば開けてもらえる。寝台車から座席車への通り抜けはできるが、逆は「換票証」が必要であり、忘れずに所持したい。

電源

電車列車は、多くの型式の車両において旅客が気軽に使える電源(220V/50Hz、以下同じ)が設置されている。

客車列車では、新空調客車列車のほとんどの軟臥車の個室に電源が、多くの硬臥車の通路に少数の電源が、それぞれ設置されている。新空調硬座車では一部の設置にとどまり、普通客車では席種にかかわらずほとんど設置されていない。

着替え

夜行列車で2 泊以上することもあるが、着替えるための空間は用意されていない。ただし、客車列車の軟臥車の洗面台は閉め切れるようになっており、ここを使うこともできる。

車内禁煙

電車列車では車内に喫煙できる場所は無く、全車禁煙である。客車列車も全席禁煙だが、デッキに限り喫煙が認められている。

乗務員

客車列車の乗務員

電車列車では列車長と2 人(16 両編成では4 人)前後の列車員が乗務している。このほかに列車により鉄道警察官、車内販売やビュッフェの係員、清掃係員が若干名乗務している。

客車列車では列車長と各車両1 名の列車員が乗務しており、長距離列車ではその交代要員も乗車している(編成端部の硬臥車が泊まり込みスペースとなっている)。各車両1 名の列車員は、扉の開け閉めや車内清掃、寝台車にあってはきっぷの保管等を担当する。列車長は、硬座車のうち1 両に設けられた列車長辦公席や食堂車にいることが多い。このほかに列車により鉄道警察官、車内販売の係員が若干名乗務している。

安全

中国の列車内は特段の危険はないといってよい。日本にいる間にも行うべき一般的な防犯策をとるべきである。例えば、カメラを含む貴重品を放置したまま席を離れないようにしたい。寝台車で就寝時は、貴重品は身に着けたり枕の下に敷いたりしておきたい。

万一困ったことがあれば、列車員に連絡をとる。ほとんどの列車には鉄道警察官(乗警)が乗り込んでおり、必要な対応をしてくれる。

検札

座席車では時おり検札が行われるのできっぷを呈示する。鉄道警察官による身分証明書類の確認が行われる場合もあり、この時はパスポートを呈示する。

写真撮影

車窓を撮る分には特に問題ない。車内でほかの旅客や係員が写り込む場合には、人に無断でカメラを向けた際に起こりうる一般的トラブルに留意されたい。

 

ふどあ(編集長)
ふどあ(編集長)

中国鉄道の駅から列車の中まで、起こり得ることをほぼ網羅して紹介しました。私は客車列車の硬座に座って、ビールや水筒で淹れたお茶を飲んだり、ひまわりの種を食べたりしながら車窓を眺めるのが好きです。ときどき相席した人や、巡回する列車員と雑談をすることがあるのも楽しみの一つですね。

この記事を参考にして、充実した鉄道旅を楽しめることを願います!

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ふどあ(編集長)
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【目次】「中国鉄道旅行ガイド」で10万kmを乗りこなす

「中国鉄道旅行ガイド」で10万kmを乗りこなす(連載トップページ)

Vol.1 どの列車に乗ろう?中国鉄道「列車・座席/寝台」の種類を紹介

Vol.2 ネットも便利!中国鉄道「きっぷ購入法と小ワザ」徹底解説

Vol.3 中国鉄道でどう過ごす?乗車から車内の過ごし方アレコレ

◆ Vol.4 中国の鉄道は本当に安全?データに基づくファクトチェック

◆ 当連載は、中国時刻研究会より「中国鉄道旅行ガイド」の本文および各種画像の提供を受け、kaeritai.asiaがWeb記事として編集を施したものです。

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画像提供:中国鉄道時刻研究会

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